腱鞘炎の症状・原因とその施術方法
腱鞘の炎症5所見は、発赤、腫脹、熱感、疼痛、機能障害です。赤くなる。腫れる。熱くなる。痛む(動かすと痛い。腫れた所に触れると痛い)などです。特に日常生活に支障をきたすのは、腫れと動かした時の痛みの2つです。通常腫れは見た目に軽度で、進行するにつれて目視できる腫れが出てきます。腫れの進行(厚み、範囲)に応じ、動かした時の痛みが増えていきます。腫れは、腱鞘部分に生じます。
腱鞘炎の症状の進行順
1.蓄積期:腫れはなく、コリ感が主です。
腱鞘の摩擦が増える炎症前の段階です。腫れはなく、運動で音がなる(ギシギシ音、パキパキ音)筋肉が硬い、コリ感や疲れ、違和感、スムーズに動かないなど。
2.炎症初期:腱を伸ばすと痛い(掴む、曲げる)
触れて腫れがわかる。物を持つ時に痛む。カクカクするなど。腱鞘が腫れて厚くなり、腱の通路が狭くなる。動かす時に痛い。※ドケルバン病では、手首と親指を小指側に曲げる事で痛みます。この動作を、フィンケルシュタインテストと言います。
3.炎症中期:腱を動かすと痛い(広げる、ドアノブを回す)
健康な側と比べ腫れがわかるなど。
4.炎症終期:ずっと痛む。ひっかかる。カクンと戻る(バネ指)
明らかに腫れがわかる。腫れが広範囲に進行し、腱の通行が妨げられる範囲も広がります。何もせず痛い。動き以前に痛いなど。※バネ指は、腱鞘炎の進行した症状です。腫れ(広範囲・厚み)が進行すると少しの動きで痛むあるいは、バネ指(弾發指(だんぱつし)の症状が出現します。
バネ指とは
曲げた指に、抵抗があり、戻る時にバネのようにカクンとなる症状をいいます。曲げる筋肉では、バネ症状で気づく場合が多いようです。曲げる筋肉は、指の関節で伸ばす事を制限されています。ですから、痛みは感じにくく、一般に進行した状態で気づくと解釈しています。
痛みと腫れのメカニズム
1.腱の通過する腱鞘で、何らかの原因で摩擦が増えます。2.摩擦が増えて、腱鞘で炎症が起きます。3.炎症により、腱鞘が肥厚し、腱の通路が狭くなります。4.狭くなる事で、さらに通過する腱と摩擦が増えます。5.腫れが進行すると、腱の動きが出来ない。ひっかかって動きにくくなります。
原因
筋肉の過使用が、大きな原因です。腱鞘で摩擦が増えた結果、炎症を起こしています。摩擦の増える因子は1.腱の弾力性の低下(筋肉の緊張):筋肉の使いすぎで硬い2.繰り返し腱鞘を通過(過使用):繰り返しの指の使用3.腱鞘を圧迫する姿勢:関節を曲げて指を使うの3つです。一般に、単独でなく複合して影響しています。さらに詳しく1.腱の弾力性の低下とは、筋肉の張り詰めた状態の事です。筋肉を使いすぎる緊張すると、先の腱がピーンと張っていきます。張った腱の浮き上がりを防ぎ、腱鞘で摩擦が増えます。2.繰り返し腱鞘を通過とは、特定の筋肉の使いすぎです。マウス、キーボード、ボウリング、ゴルフ、フィッシング、ピアノ、裁縫、執筆など。育児中の女性は、赤ちゃんの抱き方などです。例えば、女性の方、特に初産の女性は赤ちゃんを抱く動作で、手首や親指に力を入れやすいです。他に、キーボードを強く叩く、字を沢山書くなどです。使う回数の増える事で、腱鞘で摩擦が増えます。1.腱鞘を圧迫する姿勢とは、関節を曲げて使う事です。ドケルバン病では、手の関節を親指側に曲げて使用する事です。圧迫される事で、腱の通行が妨げられ摩擦が増えます。
腱鞘炎の治療方法
治療、指導、固定の3つです。
治療では
親指の筋肉を緩め、腱鞘にかかる負担を軽減していきます。腱と腱鞘の動きをスムーズにする事で、炎症はひいていきます。
指導では
腱鞘炎になる方の多くは、手首や指に負担のかかる使い方をしているようです。ですから、ご自身で出来る、体の使い方をお教えしていきます。
固定では
負担の多い方では負担を軽減する為に、固定(テーピング、サポーター)をしていきます。
治療指針
炎症期は、遠隔から治療します。体は一つですから、どこかで負担がかかっていると関係する場所は痛みを出しています。ツボの大きさは、指では1ミリ以下です。遠隔から治療すると、ビックリされる方が多いようです。根本治療は近接です。炎症がひいてから、腫れに応じ触れて特定の筋肉をさらに緩め、動きを良くしていきます。
ツボ選択例
主要経穴:親指筋群、肝経足部サブ経穴:前腕、肩、背中治療期間は一般に一ヶ月です。使用頻度や進行度で前後します。鍼は、筋肉、腱を緩める治療に優れています。皆さんからは、もっと早くくれば良かった鍼のとりこになった、気持ち良いなどお声を良く頂きます。痛みは異常のシグナルです。この機会に、一緒に体の使い方を学びましょう。定期的に行う事で、おかげさまで、良くなったとお声を沢山頂きました。腱鞘炎の際は我慢せず、お近くの鍼灸院に行かれて下さいね。